こんにちは。デザイン顧問のMayuです。
Webサイト制作は、「問い合わせをアップしたい」「製品の魅力をアピールしたい」といったクライアントの要望からスタートするパターンが多く見受けられます。こうしたWebプロジェクトを進行するに際し、取り返しがつかなくなる勘違いが起こる可能性があることをご存知でしょうか?
今回は2記事に渡って、クライアントの課題を解決するために把握するべき項目を紹介します。クライアントワークに携わるクリエイターの方はもちろん、デザインを外部に依頼されている方にも、ぜひ読んでいただけたらと思います。
目次
Webサイトの役割把握、できていますか?
早速ですが質問です。「あなたが普段見ているWebサイトは、どのようなWebサイトですか?」
ECサイトなら「販売」、BtoBの企業サイトなら「会社案内」「事業案内」という回答が挙がるのではないでしょうか。
では次の質問です。「そのWebサイトのコンバージョンは何でしょうか?」
コンバージョンとは、Webを閲覧するユーザーがWebサイトの目標とするアクションを起こすことを指します。例として、製品を購入する、登録する、お問い合わせフォームを記入するなどが挙げられます。Web制作に携わっている方なら、Webサイトにおいてコンバージョンが非常に重要な項目だとご存知かと思います。言い換えれば、Webサイトの「役割」です。
しかし、この役割を間違って設定してしまうケースは、意外と簡単に起きることをご存知でしょうか?
例として、新製品のWebサイト制作を依頼されたとします。新製品なので販売も行うべきだろうとECサイトの提案をしましたが、既に他の販路が決まっていると再提案になってしまいました。Webサイトの役割はあくまでも「新製品の紹介」だった……。
この例で最も大きな問題は、期待されている役割を理解せずに企画を行ったという点です。
こうした役割の勘違いが起きる原因は、大きく2つに分けられます。
役割を広く捉えすぎている
「Webサイトはここまで担当するべきだ」と、過剰な思い込みから起こるケースです。“クライアントの抱える課題が幅広い場合で、Webサイトはその一部を担当する”といった規模の大きなプロジェクトで発生しがちな勘違いです。
依頼内容にフォーカスしすぎる
“クライアントの要望をWebサイトで実現すべき”と固定概念を持って制作を始める勘違いです。Webクリエイターだからと、思考停止で無理やりWebサイト化をしていませんか? Webサイト以外の手段が適切な場合もあるのです。
この2つは一見真逆ですが、致命的な共通点があります。それは、「Webサイトで全てを解決しよう」と考えていることです。
求められている役割を見誤れば、良い結果には繋がりません。クライアントの課題解決のために「Webサイトが何を担うべきか」を判断できるかどうかが、Webプロジェクトが成功するかどうかの大きな分岐点だと言えます。
Webサイトで解決可能な範囲を把握する
Webサイトは、ビジネスや企業・団体が直面する課題を解決するために多くの可能性を持っていますが、全ての事象において最適なメディアとは言えません。向き不向きを把握し、クライアントから求められている役割を達成するのに最適な制作物は何なのかを確実に判断しましょう。
Webサイトに向いている課題
- 情報提供:製品やサービスの説明、会社の概要、問い合わせ先、アクセス方法など、各種情報の提供
- 広告:顧客の関心や行動に基づいたターゲティング広告
- セールス:オンラインストアによる商品やサービスの販売、予約や申し込みの受付
- コミュニケーション:問い合わせフォームやチャットボットなどによる、ユーザーとのコミュニケーション
- マーケティング:ユーザーの行動や嗜好に関するデータの収集、ニーズに応じたサービスやマーケティング戦略の構築
- 教育:オンライン学習やトレーニング資料の提供など、学校や企業の教育プラットフォーム
- 情報共有:社内や社外で情報を共有するためのプラットフォーム
Webサイトに向かない課題
以下の課題は、Webサイト以外の解決策を組み合わせた方が最適な課題解決につながる可能性があります。場合によっては、Webサイト制作以外の企画に切り替える方が、クライアントにとって最適かつ親切な企画となるケースもあります。
- 実際の行動を伴う事象
- 専門知識や技能そのものの提供
- 対面でのコミュニケーション
- 効果的な別サービスが存在する問題
- 不特定多数への広告・集客
的確な事前準備が成功の最短距離
Webサイトの役割を把握するためにいちばん大切なのはヒアリングですが、ただ漠然とクライアントからヒアリングするだけでは、課題解決に至るまでの理解はできないことがほとんどです。
なぜなら、クライアントの課題は、ヒアリング時に用意されている要件定義だけとは限らないからです。クライアントはクリエイティブのプロではありませんし、専門の部署を設けているとは限りません。最適な課題解決方法を考えるためには、ヒアリングを含むミーティングによって、課題の全体像を捉える必要があります。
その際に大切なのが、事前準備です。
ヒアリングを行う前に、クライアントの業界やビジネスモデル、Webサイトやソーシャルメディアの分析、競合他社、過去のプロジェクトや実績を調査し、課題の全体像を把握するベースを築きましょう。ベースがあることで、ヒアリングがスムーズに進むだけではなく、問題点の掘り起こしや、企画のきっかけとなる意見を出しやすくなります。
こうして課題全体の輪郭をしっかり把握し、Webサイトの向き不向きと照らし合わせることで、おのずとWebサイトが何を行うべきなのかが見えてきます。それがまさにWebサイトの「役割」なのです。
いかがでしたか?
Webプロジェクトは、クライアントの課題を解決するために存在するべきです。そこを見失ってはいけません。与えられる情報以外にも目を向け、クライアントの課題解決のために本当に必要なことは何なのか、そのために自分は何を行うべきなのかを把握することが、Webプロジェクトのスタートラインを間違いのないものにしてくれます。
次回は、役割達成のために必須となる「定性目標」の設定方法についてお話しします。
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