こんにちは、顧問の杉山です。
Webデザインセミナー「メディアと時を超えるデザインの本質」の紹介、第3回は、最高のデザインを行うために大切なこととは何かです。誰しもが思う「最高のデザインを作りたい」と言う気持ち、そのために行うべきことは何でしょうか?
Webデザインを始めたい方、デザイナーのマインドを知りたい方はぜひお読みください。
目次
メリハリこそ命
字詰めのときに少し話しましたが、自分のデザイン、クリエイティブのキーワードは「メリハリ」なんです。これに尽きる。
デザインだけじゃなく、コピーも、写真も、構成も、全部です。だらだらしているのは苦手なんです。緩急、リズム、バランス、そこをはずしたら一気に全部崩れちゃうくらいの緊張感…自分がクリエイティブに求めるのはそういうものですね。
やはり、新聞広告のデザインをしていた影響が大きいのだと思います。当時の新聞は今みたいにカラーの広告ってないんですよ。新聞広告といえばモノクロ。そんな時代です。アミフセ(※1)もあまり使わないようにしていた。アミとはグレーのことですね。印刷上では、細かい点の大きい小さいで濃淡を出すのです。特に新聞印刷では、印刷の質が悪いから大きな面積はもちません。むらになりますし。おのずと白と黒のせめぎあいになるわけです。
※1:文字や絵柄に平網やグラデーションを入れる指示のこと
日本人の美意識とシンプルさ
そのあたりは、日本人にとっての美意識につながる部分ですよね。書道とか、ちょっとありきたりな例で申し訳ないですけど、龍安寺の石庭とか。
動きも大切です。静と動のバランス、緩急のつけ方。書道で言えば「とめはね」です。これをひとつの紙面の中で何とか完結させたいのです。エレメントの集中と分散。
すごく表現にこだわるディレクターの方が打ち合わせしているときの口癖が、「言い得て妙なところにすーっとコピーを入れて」とか、「言い得て妙な」って言葉をよく使われました。これが好きでした。具体的にどこかは分からないんだけど、ホントにここだ!これだ!ってことがあるはず。そこを探すことが面白いですね。
スタートラインはシンプルであるべきだと思います。引き算をする余地がないくらいのところから。そのあと、ほんの少し色を添える。少しだけ動かしてみる。まず、ベースとなる骨格をしっかり作り、そこから応用に入る。ベースがないのに、応用に入ってはダメです。
どうせなら最高を目指す
レイアウトやデザインに限らず、私たちが扱ってるものって細かい要素が全体を構成しているわけで、そのどちらにも均等に気を配らなければいけません。
小さなほころびって結構目立つんです。それが全体のクォリティを下げてしまいます。だから、全体を見渡しつつ、各パーツにも同様の目配せをきちんと行おう、ということです。それが全体をしっかりとしたものに見せてくれるはずです。
そして、自分がいいと思うクリエイティブの基準を、思いっきり引き上げてください。もう、世の中にあるどんなものより自分はいいものをつくるぞ!中村勇吾(あくまで喩えです)なんか目じゃない、みたいな。業界じゃNo.1だ、みたいな。
身近なとこなら、デザイン年鑑に載ってるどれよりもかっこいいとか、イケサイとかWEB DESIGN CLIPとかデザインリンクDBに載っているどれよりも魅力的とか。常にそんな気持ちを持ってほしい。比較し続けろってわけではなく、ベンチマークがあると位置関係が分かりやすいってことです。
数をこなすことで目を肥やす
もう、何十案だって、何百案だって、ちょっとオーバーですが、とにかく数を出します。どこでも出します。電車の中でも、お昼食べてるときも。かつて電車でオフィスに通っていたころは、朝の通勤時間がサムネイルを描く時間でした。いまどきは情報保護の観点からあまりお勧めできないですけど。
でも、どんどん描いて、紙面が埋まってくのって快感ですよ。断片的でもいいんです。とにかく数を出そうってことですね。
電車に乗ってるといろんなものが見えるじゃないですか。車内は中吊りなどの広告、外は駅の広告。見たものから、必ずひとつはアイデアを抽出…なんてこともしました。電車に限らず、コーヒーを飲んでるときでも、どこでもできますよね。雑誌とか風景でもいい、ヒント=言葉を見つけ出す作業はいいですよ。
対象は好き嫌い関係なく。Webを見るときって、ついついあらかじめフィルターかけちゃうじゃないですか。欲しいものしか見ない、みたいな。目を養うには自分の意識の外にあるものを積極的に取り入れることが大切です。それが気づきにつながるんです。
そして、自分の中だけの判断基準って実はとても危ういから、できるだけ大勢の人に評価を受けてほしいですね。厳しい言葉をぶつけられてほしい。先輩、同僚、家族、だれでもいいんです。
ほかのこともいろいろしてみる
あとはともかく、いろんなことをしてみることがデザイン力アップにつながるのだと思います。興味を持つ、とか生易しいんじゃなくて、どっぷりつかっちゃう。
自分は8年くらい一人で事務所をやっていたので、一時期…まあ今も変わらないんですが…何でも屋さんです。構成を考え、デザインをして、取材に行って、コピーを書いて、写真も撮る。いろいろやると、何でそれがそうなってるのか、ってのが見えてきます。どっぷりつかると見えないのかもしれないけど、ちょっとかじったくらいじゃもっと見えない。絶対に真実は見えてきません。
だから、やるなら本気でやっちゃう。そうすればお金も取れますしね。
そんな中で、コピーを書く、というか文章を書くということが、クリエイティブ全般にすっごく役立つんです。今からデザインを始めようとするとき、デザイナーじゃない人がデザインするとか、写真撮影とか、なかなか難しいじゃないですか。でも、文章なら書けますよね、きっと。基本的に紙面、構成の内容ってのは文字が作ってますから、文章をメリハリつけて、抑揚つけて、読みやすく印象深く書く練習。これですね。
これがしっかり書けるようになれば、おのずと見えてくるんです。全体の構成や画面の構成が。ついてくるんです、内容の把握力、構成力が。盛り上げるところ、強調するところ、はずすところ、抑えるところ、どれも文章を書くことが教えてくれます。そういったところが凝縮されている。
だからか、著名なクリエイターの方々って文章もうまいですよね。
この記事に
「ええね!」する
名古屋を拠点としたWeb制作会社、株式会社テラ
TERAの優れたコンサルティング、デザイン
ネットワークを駆使し
お客様の抱える問題を即時解決いたします