2023年2月24日

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    どうするSDGs?Webサイトでサステナビリティを実現するには

    デザイン顧問 Mayu

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    どうするSDGs?Webサイトでサステナビリティを実現するには

    こんにちは。デザイン顧問のMayuです。

    生活やビジネスの中では環境などの様々な課題がありますが、「サステナビリティ」「SDGs」といった用語をよく耳にします。(サステナビリティと似たサステナブル○○という表現もよく見かけますが、名詞として一語で表現したい場合は「サステナビリティ」を使用します。)これは英語の「sustain(持続する、保つ)」と「-able(~できる)」を組み合わせた言葉で、日本語で「持続可能性」を意味します。

    今回の記事では、サステナビリティとSDGsとは何なのか、BtoBサイトの定番コンテンツ「CSR」との違い、そしてクリエイティブに関わる企業として「Webサイトでサステナビリティを実現するにはどうしたらいいのか」についてお話します。

    環境コンテンツを考えていらっしゃるWeb担当の方だけではなく、自分が地球に対して何ができるのか興味があるクリエイターの方にも、ぜひ読んでいただけたらと思います。

     

    サステナビリティ・SDGs・CSRの違い

    サステナビリティは環境や社会、人々の健康や経済など、人間が生活するあらゆる場面において「将来にわたって機能を失わずに続けていくことができることシステムやプロセス」を指します。
    目先の利益やパフォーマンスを追求するのではなく、物事の長期的な影響を考えて行動するという概念であり、環境が再生し続けられるようなシステムを使って事業を行おうという考え方です。

    これは1987年に開催された「環境と開発に関する世界委員会」の報告書で中心キーワードとして発表され、1992年の地球サミットで世界中に広がりました。2023年現在でも、世界中のビジネスシーンで重要視されている考え方と言えるでしょう。

    このサステナビリティの概念をより広めたのが、2015年に国連が承認した「SDGs(持続可能な開発目標/Sustainable Development Goals)」です。2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから成り立っており、経済的な発展、社会的なインクルージョン、環境の保護など幅広い分野にわたります。

    そしてCSRも企業の環境配慮方針…と勘違いされがちですが、これは間違いです。CSRは「企業の社会的責任」を示すもので、顧客や従業員、取引先、その他全てのステークホルダーに対して責任を果たすために、企業が戦略を持って自発的に行動を起こすことを指します。

    まとめると「サステナビリティ」は環境が再生し続けられるようなシステムを使って事業を行う概念、サステナビリティを実現するための具体的な目標が「SDGs」、サステナビリティを含めた企業の社会的責任・行動を示すものが「CSR」と言えます。

    サステナビリティをWebサイトで実現するには?

    では、Webサイトにおいてはどうでしょうか。

    「サステナブルWebデザイン」は、環境、社会、エコノミーに配慮したWebサイトのデザインを指します。具体的には、ページの読み込み速度やエネルギー使用量、アクセシビリティに対する配慮とUX向上を両立させ、環境や社会に対する影響を最小限に抑えるWebサイトのデザインです。

    アメリカのデジタルエージェンシーMightybytes社が提唱する「Sustainable Web Design」では、全世界のCO2排出量のうち約3.8%がインターネットの電力消費によるもので、2025年には中国、インド、米国に次ぐ、国家レベルの排出量になると言われています。そのためにも、Webサイト閲覧による電力エネルギー消費を最小限に抑える工夫が必要です。

    改善ポイントの候補としては、以下項目が挙げられます。

    表示パフォーマンス

    高速なページ読み込みを目指すために、画像の圧縮や不必要なスクリプトの削除などを行います。画像パーツの量や大きさへの配慮など、デザイン面でも考慮が必要です。

    UX・ファインダビリティ

    直感的かつ効率的にユーザーが目的の情報に到達できるように設計を行います。コンテンツボリュームを抑えるなどの工夫も推奨されます。

    再利用可能なコンテンツ

    可能な限り再利用可能なコンテンツを使用することで、Webサイト編集時の電力消費を抑えることにつながります。

    環境に配慮したホスティング

    環境に配慮したサーバーを利用するなど、適切な外部サービスの選定も推奨されます。

     
    実際にサステナブルWebデザインを採用したWebサイトの例を見てみましょう。

    図1:1.1.1.1

    1.1.1.1は、Cloudflare社が提供する高速かつセキュアなDNSサービスのWebサイトです。ページの読み込み速度が高く、エネルギー使用量も少ないように設計されています。

    このようにサステナブルWebデザインでは、サステナビリティの分類「経済開発・社会開発・環境保護」において、環境保護に関わる要素が多くを占めます。しかしインターネットが社会インフラとなっている現在においては、すべての人々の生活を豊かにする取り組み、社会開発でもあるということを忘れてはいけません。

    すべてのユーザーがWebサイトを利用できるようアクセシビリティガイドラインに従ってデザインするなど、より素晴らしい社会の実現に向けた工夫も、サステナブルWebデザインの大切な観点です。

    サステナビリティはリジェネレーションへ

    現在では、サステナビリティを補う新しい概念として「リジェネレーション」「リジェネラティブ」が使われ始めています。

    サステナビリティが地球に対するネガティブな影響を減らす「less bad」が中心であるのに対し、リジェネレーションは地球や暮らしの環境を再生(=復活・回復)して社会をデザインする、プラスの行動を加えた「more good」の考え方です。

    一例として、2021年9月、ネスレは再生可能なフードシステムへの移行を支援する計画を発表しました。最先端の科学技術を応用した技術支援、再生農業への投資サポート提供、再生農業の農産物に割増価格を支払うといった施策です。環境を保護・回復し、農業従事者の生活向上、農業コミュニティのウェルビーイングを高めることを目指す、まさに「リジェネレーション」の取り組みと言えるでしょう。このように、温室効果ガスを削減する「ゼロエミッション」に重点を置いていた企業は、続々とリジェネレーションへ対応する動きをみせているようです。

    今後、世界中でリジェネレーションの取り組みが増えていくことからも、Webにおける考え方や重要視されるポイントは間違いなく変化します。

    なぜなら、Web環境は常に時代に沿って変化してきているからです。

    地球環境の課題や解決方法まで全体を見通し、持続可能な未来を実現するための先進的な行動が、社会インフラであるインターネット、そしてWebサイトにおいても必要不可欠です。

     

    インダストリアルデザイナーのディーター・ラムズが提唱した「良いデザイン10ヶ条」の最後には「Good design is as little design as possible.(良いデザインとは、可能な限り少ないデザインだ)」とあります。少なくするということは、より洗練、凝縮されることです。伝えるべきことを伝えるために、贅肉を削ぎおとす。それこそが良いデザインであり、サステナビリティにつながっていくと言えるでしょう。

    可能な限り「少なく」。この言葉に、Webデザインの今後が詰まっているのではないでしょうか。

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