このイベントを始められたきっかけは?
名古屋生まれで名古屋育ちの私が、大晦日の夜に出かけるところといえば熱田神宮くらいでした。
核家族化やグローバル化が進み、人と人のふれあいが希薄になりつつある昨今ですが、年末のこの時期だけは実家に帰る人もたくさんいるでしょう。単身赴任の人であれば家族と一緒に過ごせる貴重な時間。でも、ここ名古屋には大晦日の夜に、親や子供を連れて出かけられる場所が思いのほかなかったのです。
そんなとき、ご縁があって東別院で講演させていただくことがあり、その際ホームページのリニューアルを提案させていただいたところ、私が代表を務める株式会社テラが担当することに。東別院に伺う機会も増え、広い境内を眺めているうちに「ここで年越しイベントが出来ないだろうか?」とイメージが浮かんだのです。
どうして、デジタル掛け軸なのですか?
本堂を始め皆様のご先祖様が眠る場所で、娯楽性の高いショーのようなイベントは出来ないと考えたとき、理事長をさせていただいている中川運河キャナルアートで知り合った長谷川章先生の「D-K デジタル掛け軸しかない!」とすぐに思いました。
数百万枚の映像がランダムにゆったり変化する様子を眺めていると、心が落ち着き自分自身について考えられるようになります。一年を振り返ったり、新年のことを考える時間にしてくれるのです。
毎年、能や和太鼓、書などを選ばれているのはどうしてですか?
私は神仏を尊び、手を合わせることは大切なことだと思っています。しかし、先に述べたように、そうした思いを希薄にしてゆく核家族化やグローバル化、そして少子化、都市一極集中化は止めようがなく、このイベントを通して年越しくらいはご先祖様に手を合わせる機会になればよいと思っていました。
しかし、「こうした流れには根本的な問題があるのでは?日本の伝統文化そのものの危機ではないか?」と思うようになり、日本の文化に触れていただく機会にしようと考えるようになりました。
今年で5回目とお聞きしましたが、大変ではないですか?
正直なところ、約100名のボランティアの方を集めたり、ご協賛やご寄付も集めないといけないので、大変でないと言うと嘘になります。もちろん、私自身の体力も(笑)。企画段階から数えると8月からこの年越しまで、とても多くの時間とエネルギーを使うので、この5年の年明けはずっと寝正月です。
資金面でも苦労していますが、このイベントには「各界の第一人者が演ずる本物の素晴らしさをどなたにもご覧いただける機会にしたい」という信念があります。そのため、「観覧無料」に拘りたいと思うのです。
そこまで頑張るのはなぜですか?
まずは、毎年何万人もの方が来てくださることです。
中には感謝して涙しながら握手を求めてくれる人もいますし、会場を見ると来てくれた人たちの表情がたまらなく素敵なのです。
そして、アーティストや演じてくださる方々、そしてボランティアスタッフの方々が、一生懸命に私を後押ししてくださるからです。この人たちのために頑張らなくては!と思いながら頑張っています。
では、最後に今年の見どころを!
昨年との大きな違いは、「書」と「和太鼓」が加わったこと、そしてご寄付いただいた方へのお礼として、あの大きな山門の上にお招きし、日頃は見られない場所から会場を見渡していただこうと考えています。
大焚き火の時間も延長しますし、人気のキャンドルにもまた一工夫加えました。それらを楽しみながら美味しい食事やお酒を召し上がっていただき、特別な年越しのひとときをお過ごしいただきたいと思っています。
ぜひ、ご家族、恋人、ご友人など、大切な人といらしてください。